記念すべき(?)第一弾は東京創元社から出ている『川に死体のある風景』。六人のミステリ作家による競作です。興味のある方はつづきをどうぞ。たまにネタバレてます。
「川と死体」をテーマにした競作集。綾辻さんと有栖川さん目当てで買った本だったんですが、どの話もそれぞれ面白かったです。個人的におすすめなのは大倉崇裕さんの『捜索者』。ストレートに殺人と犯人探しが描かれていて読みやすい。佳多山大地さんの『この世でいちばん珍しい水死人』もなかなか。二作とも、テーマとは若干ずれている気もしますがそれはそれ。
目当ての綾辻さんの『悪霊憑き』は…うーん、個人的に不発でした。綾辻さんはミステリにホラーを混ぜた話が多くて、今回の話もそうだったんですが、どうも上手く二つが絡んでいないような。主人公の不自然な症状が核心に迫る鍵になっている、というわけでもないようだし。別に連載している話と微妙にリンクさせてあるということなので、そっちを読んだら分かるのかな。あとがきにあったプロットの話の方が面白くなったんじゃないかな、と思います。…彼の純粋な本格ミステリ(十角館みたいな)はもう読めないんだろうか…。
もう一作のお目当て、有栖川さんの『桜川のオフィーリア』。この人の作品はいつもタイトルから楽しめますね。読者を惹きつけるのが上手いと思います。感想は…久々に学生編来た!というのがまず始めです。江神さん最近ご無沙汰だったので。時期的には『月光ゲーム』と『孤島パズル』の間、しかもマリアが入部する前ですね。野郎ばっかでむさ苦しい(笑)。EMC発足時の話が少し入っていて、シリーズのファンとしては嬉しいところ。
本筋に戻ると、まあ全体的に有栖川さんらしい話でした。事故(自殺?)の話そのものに焦点を当てるのとはまた違う切り口の話で、内容としてはまとまっています。でも、「犯人当て」の話が好きな私としては物足りないかな、という。もう少し探偵役の推理力が駆使される話が読みたかったです。
ところで有栖川さん、学生編の長編はいつですか…。
全体的に見ると思ったより面白かったです。競作集を読むと読む作家の幅が広がって良いですね。星五つで満点だとしたら、これは星四つくらいかな。
…とまあこんな感じで進めていけたらいいなと思います。何か読んだら上げていくつもりなので不定期です。